オーストラリアワイン~広大な土地に広がる様々なワイン銘醸地~

オーストラリアは雄大な土地を持ち、世界で6番目に大きい国です。その国土の広さはヨーロッパ全体の約7割にも匹敵します。オーストラリアは、2018年のワイン生産量が世界で第6位を誇るワイン大国のひとつです。しかし1haあたりの人口密度は、日本が約333人なのに対し、オーストラリアは1haあたり約3人と非常に少なく、また人口は日本と比べても約1/5ほどの約2500万人のため、国内での内需が少なく、輸出が全ワインの販売量の約6割を占める「ワイン輸出大国」でもあります。オーストラリアのワインは、日本にも多く輸入されているので、日本のスーパーやワインショップで目にすることも多いのではないでしょうか。

今回はそんな日本でも馴染みの深い、オーストラリアワインの主要品種や主要産地についてご紹介します。

オーストラリアワインの産業構造

オーストラリアには約2,500ものワイナリーがありますが、そのうち大手企業の約20社が全オーストラリアワインの生産量の約80%を占めています。

こうした大手企業は、大量生産による生産コストの低減による低価格帯ワインの実現や、果実味豊かで飲みやすい味わいの重視、徹底したブランドマーケティング戦略によって、日本を含め世界中のワイン市場で成功を収めています。日本のスーパーなどで購入可能な低価格帯のオーストラリアワインのほとんどは、こういった大手企業によって生産されたものです。

その一方で、残りの約2, 500もの中小規模のワイナリーが、全体の約20%の生産量のシェアを分け合っています。ですがオーストラリアでは、世界的にも有名な大手ワイナリーだけではなく、こうした中小規模のワイナリーからも、産地の個性を活かした少量生産の銘醸ワインが数多く生み出されています。

オーストラリアの主要ブドウ品種

黒ブドウ品種:シラーズ

オーストラリアを代表するブドウ品種といえば、黒ブドウの「シラーズ」が有名です。オーストラリアのシラーズは、フランスのローヌ地方で造られる「シラー」に比べると、より濃厚で、果実味豊かな味わいが特徴です。一般的には、フランスのシラーに強く感じられるようなコショウのアロマは控えめで、チョコレートのようなコクのあるニュアンスが強いものが多いです。

その他の黒ブドウ品種では、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどが多く栽培されています。

白ブドウ品種:セミヨン

白ブドウ品種では、シャルドネソーヴィニヨン・ブランの生産量が多いですが、オーストラリアの特徴的な品種としては「セミヨン」があげられます。オーストラリアでは2つのタイプのセミヨンが生産されています。1つは、アルコール度数が10~11%と低く、軽いさっぱりとした味わいのタイプで、もう1つは完熟した果実を使用し、樽熟成させた濃厚なタイプです。アルコール度数は高く、14%を超えるものもあります。

オーストラリアで造られる白ワインは、比較的フルーティな印象のタイプが多く、トロピカルフルーツなど華やかなニュアンスを持つことが特徴です。

ブレンドワイン

オーストラリアでは2つ以上のブドウ品種をブレンドして造る「ブレンドワイン」の生産も一般的です。赤ワインだと、シラーズとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドや、白ワインならシャルドネとセミヨンのブレンドなど、他国ではあまり見かけないようなオーストラリア独自のブレンドワインも生産しています。オーストラリアのワイン法では、ラベルにブドウ品種を記載する際は、ブレンド比率の多いブドウ品種から順番に記載されます。

オーストラリアの主要産地

オーストラリアのワイン産地は7つの州に分けられますが、その中の「南オーストラリア州」がオーストラリアワイン全体の生産量の約半分を占める一大産地となっています。

またオーストラリアでは1993年からGI(Geographic Indications)と呼ばれる原産地呼称が導入されています。これまでに約120の地域がGI地域として定められています。さらにGIの広さによって、Zone(地域)、Region(地区)、Subregion(小地区)という階層に細かく分類されています。

ここでは、オーストラリアの代表的なRegion(地区)とその地区の特徴をご紹介します。

南オーストラリア州

南オーストラリア州は、オーストラリアワイン生産量の約半分を占める、オーストラリア最大のワイン生産地域です。

バロッサ・ヴァレー

フランスのボルドーと同じような気候を持ち、「シラーズの首都」とも呼ばれるほど、シラーズの生産で有名な地区です。生産量の約70%を赤ワインが占めており、力強いタイプのシラーズが特徴です。シラーズの他に、カベルネ・ソーヴィニヨン、セミヨンも多く生産されています。

イーデン・ヴァレー

バロッサ・ヴァレーの東隣にある地区で、標高が高く冷涼な気候が特徴です。オーストラリア最高のリースリングの産地として有名なクレア・ヴァレーと並び、高品質なリースリングの産地として知られていますが、世界水準のシラーズを造ることでも知られています。

アデレード・ヒルズ

バロッサ・ヴァレーの南に位置する冷涼な地区です。高級スパークリングワインや、シャルドネ、ピノ・ノワールなどのブルゴーニュ品種から造られるワインが高い評価を受けています。

クレア・ヴァレー

バロッサ・ヴァレーの北に位置する地区です。夜間の気温がかなり低くなるため、酸味の強いブドウが栽培されることから、オーストラリアを代表する最高のリースリングを生み出す産地として知られています。

クーナワラ

南オーストラリア州の最南東に位置する地区で、「赤い大地」という意味を持つ、テラロッサ土壌と呼ばれる石灰岩土壌で有名なワイン産地です。フランスのボルドーに似た海洋性気候を持ち、オーストラリア屈指のカベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸地として有名です。

ニュー・サウス・ウェールズ州

オーストラリアワイン発祥の地として知られており、オーストラリアワインの生産量の約3割を占める州です。

ハンター・ヴァレー

シドニーの真北に位置する地区で、オーストラリア最東のワイン産地です。1825年にオーストラリアで最初のブドウが植えられた、オーストラリアで最古のワインの歴史を持つ栽培地でもあります。オーストラリアの中でも気温が高く、雨の多い地域で、低アルコールのセミヨンや、シラーズ、リッチな味わいのシャルドネなどが多く生産されています。

ヴィクトリア州

中小規模のワイナリー中心のワイン産地で、大規模なワイン生産者が多い南オーストラリア州とは異なる性質をもつ州です。

ヤラ・ヴァレー

冷涼な気候で、夏オーストラリア最高のピノ・ノワールの産地として注目を集めている地区です。上品なシャルドネや、良質なスパークリングワインも多く生産されています。

西オーストラリア州

オーストラリア国内での生産量は非常に少ないですが、良質なワインの産地として近年高い評価を受けているワイン生産地です。

マーガレット・リヴァー

オーストラリア最西のワイン産地です。ボルドーの乾燥した年に似た気候を持ち、高級ワインを生産する小規模ワイナリーが集中している地区です。エレガントなタイプのカベルネ・ソーヴィニヨンや、ブルゴーニュ・スタイルのシャルドネの生産で有名です。

オーストラリアでは広大な領土の中の様々な地域でワインが生産されており、産地の特徴は多種多様です。またオーストラリアのワインはスーパーでも購入可能な1000円未満の低価格なものから、数千円~1万円以上する高級ワインまで、日本でも幅広い価格帯のものが入手できます。いろいろなタイプのオーストラリアワインをぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。

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