上質なもの、本物を知っている50代は、こだわりのある世代。ワインを飲む際も、十分吟味して選びたいもの。そんな50代からのかたのワインの選び方をご紹介します。
趣味としてのワイン
細かい知識はなくとも、ワインを飲むことが楽しみのひとつになってきた50代のかたは、ぜひ趣味としてのワインを意識してみてください。
ワインは、単なる飲みものではありません。エドワード7世(1841~1910年)は、ワインについて次のような名言を残しています。
「ワインは、飲むだけではない。香りを感じ、見て、味を楽しみ、少しずつ口に運び、そして、それについて話すものだ。」
まさにその通りで、ワインは五感とともにあります。だからこそ、幸せをもたらしてくれるのです。もっとワインを味わいたい、知りたい、楽しみたい、とパッションが生まれます。
毎日が忙しく、時間のない世代は、1日の終わりに家で一息つく時間は贅沢に過ごしたいもの。その際に、滋味なワインがあれば、少しの時間でも癒され、安らぐでしょう。芳醇なワインは、話も盛り上げてくれます。家族とワインのおいしさを共有することで、喜びに包まれます。
また、上質なワインは、すぐに飲んでもおいしいですが、長期熟成させるとますます味わい深くなるため、自宅のセラーに寝かせる楽しみも出てきます。
産地からワインを選ぶ
ワインを選ぶとき、一番重要ともいえる「産地」に、まずは注目してみましょう。
少し値段ははっても、上質なワインを飲みたいと考えるなら、伝統のあるフランスのワインから選んでみましょう。
おすすめのシャンパン
フランスのシャンパーニュ地方で造られるシャンパンは、味わい深く、エレガントで、スパークリングワインの最高峰ともいえます。泡が華やかな印象で、スペシャル感もあります。
ローラン・ペリエ / ラ・キュヴェ
ローラン・ペリエは、1812年に創立されたメゾンで、その優れたシャンパンは世界で愛されています。
ラ・キュヴェは、ローラン・ペリエの顔ともいえるシャンパンで、エレガントでバランスのとれた味わいです。きめ細かい泡立ちはなめらかで、白い花や柑橘系のフルーツ、白桃の香りがフレッシュです。
華やかな泡がリッチな気分にさせてくれます。
おすすめのボルドー・ワイン
本物を知っている50代にとって、外せないワイン産地は、ボルドー。ボルドーは、4世紀ごろからすでにワインの名産地として知られていました。ボルドー・ワインは、12世紀にイギリスに輸出されるようになり、名声を得、そして1855年にメドック地区の格付けが生まれ、確固たる地位を獲得します。
「重厚な味わい」というイメージが定着している高品質のボルドー・ワインは、力強く、しっかりしたタンニンがあり、長期熟成にも向いています。カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルドなどの品種をブレンドさせて造られるため、複雑さがより一層増し、深みのある味わいとなります。リラックスしながら堪能するのにぴったりなワインです。
レオヴィル・ラス・カーズ / クロ・デュ・マルキ・ド・シャトー
レオヴィル・ラス・カーズは、ボルドー・メドック第二級の格付けですが、第一級に迫る「スーパーセカンド」の代表格シャトーで、サン・ジュリアン村に位置しています。
このクロ・デュ・マルキは、黒系の果実、ハーブやスパイス香が重なり合う複雑な香りです。シルキーなタンニン、濃厚な果実味、なめらかな味わいで、余韻が長く続く、深みのある赤ワインです。
おすすめのブルゴーニュ・ワイン
ボルドーと並んで歴史のあるワイン産地、ブルゴーニュ。「ワインの王」とも呼ばれるブルゴーニュ・ワインは、傑出した味わいで世界のワイン愛好家を惹きつけててやみません。ピノ・ノワール100%で造られる赤ワインは、気品のある味わいです。香りの変化を楽しみながら、贅沢に楽しみたいワインです。
ミッシェル・グロ / ニュイ・サン・ジョルジュ
ヴォーヌ・ロマネの名門、グロ家。グロ家のワインの歴史は、1830年、ニュイ・サン・ジョルジュ村近くのショー村にアルフォンス・グロ氏がドメーヌを設立したことに始まります。畑は代々引き継がれ、1975年、8代目ミシェル氏が自身のドメーヌ「ミシェル・グロ」を創立しました。
このニュイ・サン・ジョルジュは、ピュアな果実味と美しい酸味が感じられ、タンニンはしなやか。緻密で上品な味わいです。
品種からワインを選ぶ
ワイン選びでもうひとつ重要なことは、「品種」です。ある程度の数のワインを飲むと、自分の好みがわかりますので、好みによって品種を選ぶのもよいでしょう。その日の気分によって、品種を変えるのもあり。さらに、食べる料理によって品種をチョイスすると、ワインと料理のマリアージュを楽しむことができます。ワインをおいしく飲むにあたって、料理とのペアリングは非常に大切です。ワインも料理もさらにおいしくなり、食事の時間がよりハッピーになるでしょう。
おすすめのシャルドネ
「白ワインの王女」とも呼ばれるシャルドネ種。栽培される地域によって味わいが変化するという特徴があります。シャルドネで特に有名なのが、「シャブリ」。ブルゴーニュ地方の北に位置し、ワインはミネラルが豊富で、しっかりした酸味があり、さわやかな味わいです。
シャブリは和食にとてもマッチします。和食でホッとしたい日はぜひシャブリを合わせてみてください。
メゾン・ウィリアム・フェーブル / シャブリ プルミエ・クリュ「モンマン」
ウィリアム・フェーヴルは、1850年に設立され、現在の社名でもあるウィリアム・フェーヴル氏がドメーヌを相続したのが1950年のことです。シャブリ最大の特級畑所有のドメーヌで、2008年からビオロジック農法を実践し、グラン・クリュとプルミエ・クリュの畑ではビオディナミ農法をおこなっています。
この「モンマン」は、シャブリ左岸に広がる一級畑のブドウで造られます。ここは、シャブリ地区の最大の特徴であるキンメリジャン土壌で、牡蠣や貝殻などの化石が混じった地層となっています。はっきりとしたミネラル感と酸味は、フレッシュで繊細。しっかりとしたストラクチャーで、まるみも感じられるしなやかな味わいです。
おすすめのシラー
シラー種の赤ワインは、スパイスのニュアンスがあり、スパイスのきいた料理に大変合います。黒胡椒をきかせた肉料理を食べるときは、シラーがおすすめです。また、オイリーでジューシーな中華料理にももってこいです。シラーは、フランスのコート・デュ・ローヌ地方の原産ですが、オーストラリアもローヌ地方と並ぶほどのシラー名産地です(オーストラリアではシラーズと呼ばれます)。
ティレルズ / ヴァット・9・ハンター・シラーズ
ティレルズは、オーストラリアのハンターバレーに位置する1858年に設立されたワイナリー。規模は大きいながら、家族経営を続けている有名ワイン・メーカーです。
このヴァット・9・ハンター・シラーズは、樹齢100年以上のブドウから造られる貴重なワイン。赤いベリー系の香りとスパイス香が広がり、オーク樽を感じさせるしっかりとしたボディとタンニンは余韻があり、まろやかでかつふくよかな味わいです。
まとめ
こだわりのある世代だからこそ、ワインを飲む時間を大切にして、味わいながらワインを楽しみたいものです。ワインは生活を豊かにし、人生を楽しくしてくれる産物(プロダクツ)なのです。