ワインテイスティングって何?
「ワインテイスティング」とはワインを飲んで、ワインの「色・香り・味わい」を分析し、それを言葉で表現することです。「どんなタイプの味わいなのか」「どのように美味しいのか」などワインの特徴を、そのワインを飲んだことがない人でもイメージできるように言葉で表現します。
みなさんはワインを飲んでいて「それぞれ味が違うのはわかるけれど、どう言葉でその違いを説明したら良いかわからない」と思った経験はありませんか?
いろいろな種類のワインを飲んでも、いつも「美味しい」の一言で終わってしまってはもったいないですし、せっかくならワインの特徴を言葉にして伝えられたら良いですよね。
簡単なテイスティングコメントが言えるようになると、好きなワインを友達に「どんな風に好きなのか」を説明しながらオススメしたり、ワインを購入する際に自分の好みを店員さんに伝えたりすることもできるようになります。
そこで今回は、もう一歩ワインの世界に踏み込んでみたいと考えている方に、「簡単なワインテイスティングの方法」をお伝えします。ワインの基本的な表現方法を学んで、一歩レベルアップしたワインの楽しみ方を体験してみましょう。
ワインテイスティングの3つのポイント
まずワインテイスティングをする際の大きなポイントとなるのが以下の3つです。
①「色」を表現する
②「香り」を表現する
③「味わい」を表現する
初めての方はまずこの3つのポイントについて、一言ずつでもいいので感じた印象を言葉にして表現することから始めてみましょう。慣れてきたらどんどん表現を追加していき、より正確にワインの特徴を伝えられるよう工夫してみてください。
①ワインの色を表現する
まず初めにグラスに入ったワインの色合いを確認しましょう。
■ワインの色合いの表現
【白ワイン】
・グリーン
・イエロー
・ゴールド
・琥珀色 など
【赤ワイン】
・紫
・ルビー(明るい赤)
・ガーネット(オレンジ系の黒っぽい赤)
・レンガ色 など
これに「淡い・薄い・濃い・力強い・深い」などの「色の濃淡」を表す単語を付け加えてみても良いでしょう。
また「~がかった」「~を帯びた」という表現を加えると、はっきりとしていない色合いのニュアンスを表現するのにも役立ちます。例えば、「グリーンがかった淡いイエロー」と言えば、普通の「イエロー」よりも少し緑っぽい淡めの色合いを表現することができます。
さらに余裕があればワインの「清澄度」を表す、「透明な・輝きのある・澄みきった・澄んだ・ぼやけた」などの表現を付け足して、「輝きのある黒みを帯びた力強い色合いのガーネット」などのように表現するとより具体的になります。
②ワインの香りを表現する
ワインはブドウから造られていますが、単純に「ブドウの香り」と表現してしまっては、特徴が伝わりにくいですよね。そこで、ワインの香りを表現するときは、ブドウ以外のフルーツやお花などの例えを用いて「○○のような香り」と表現します。
■白ワインの香りの表現
【お花】
・アカシア
・キンモクセイ
・ジャスミン
・白いバラ など
【フルーツ】
・グレープフルーツ
・レモン
・リンゴ
・白桃
・パイナップル
・アプリコット
・ライチ など
【その他】
・バター
・ヨーグルト
・ナッツ類
・はちみつ
・白コショウ など
■赤ワインの香りの表現
【お花】
・スミレ
・ラベンダー
・赤いバラ など
【フルーツ】
・イチゴ
・チェリー
・ラズベリー
・ブルーベリー
・カシス
・プルーン
・イチジク など
【その他】
・チョコレート
・コーヒー
・タバコ
・コショウ
・グローブ など
■香りの強さの表現
さらに具体的に香りのイメージを表現するために、香りの「強弱」を付け加えるとより表現豊かになります。
【香りの強弱】
・かすかな
・控えめな
・豊かな
・力強い など
上記の表現を組み合わせて「プルーンやカシスなどの力強い黒系果実のアロマと、スミレのようなフローラルな香りをかすかに感じる」などのように表現できます。
③ワインの味わいを表現する
最後にワインを飲んで味わいを表現します。
ワインの味わいを表現するためには「甘辛度」と「酸味」、それから赤ワインの場合はそれに加えて「渋み」がポイントになります。
■ワインの甘辛度の表現
ワインの中に含まれている糖分の量によって、辛口~極甘口まで「甘辛度」が異なります。
【甘辛度の表現】
・辛口
・やや辛口
・やや甘口
・甘口
・極甘口 など
「やや辛口」や「やや甘口」などの境界線を決めるのは難しいですが、自分が感じたニュアンスで表現してみてください。
■ワインの酸味の表現
次に、ワインの味わいに不可欠なもののひとつとして「酸味」があります。この「酸味」がワインの味わいを大きく左右しています。そのため「酸味」についての表現を加えることで、ワインの特徴を捉えやすくなります。
【酸味の表現】
・控えめな
・ソフトな
・穏やかな
・さっぱりとした
・さわやかな
・引き締まった
・いきいきとした
・喉ごしの良い など
上記をもとに「さっぱりとして引き締まった酸味」などのように表現してみてください。
■渋みの表現
ワインには「タンニン」と呼ばれる渋みがあります。このタンニンのもとになるポリフェノールはブドウの皮や種子に多く含まれているため、赤ワインは渋みをより強く感じます。タンニンはワインの骨格を表現するため、タンニンについての表現を加えることで、ワインの味わいの全体像を把握しやすくなります。赤ワインを飲んだ後に舌に残るザラザラとした感覚を言葉で表現してみましょう。
【渋みの表現】
・きめ細かい
・滑らかな
・柔らかい
・丸みのある
・口当たりの良い
・骨格のしっかりした
・力強い
・荒々しい など
「きめ細かい滑らかな舌触りのタンニン」「タンニンは骨格がしっかりとしていて力強い」などのように表現します。
■まとめの表現
さらに下記のような表現を使って最後に「○○なワイン」という全体のまとめの表現を付け加えると、より表現のバリエーションが広がります。
【まとめの表現】
・軽めの
・爽やかな
・いきいきとした
・柔らかい
・なめらかな
・とろりとした
・コクのある
・力強い
・濃厚な など
ワインのテイスティングコメントを作る
上記のポイントを意識しながら、「色」「香り」「味わい」の項目を順番に繋げていけば、立派なテイスティングコメントが出来上がります。それでは例として、私が先日飲んだ赤ワインを表現してみます。
「色合いは、ほんのりと紫がかったやや濃い目のルビー色。熟したイチゴ、ラズベリーなど赤系フルーツのアロマに、かすかにスミレのようなフローラルな香り。やや辛口で、酸味はソフト。タンニンは控えめで、柔らかな印象の赤ワイン。」
いかがでしょうか?私が飲んだワインのイメージがなんとなく伝わったでしょうか?
「自分はプロじゃないからテイスティングコメントを言うなんて恥ずかしい」と初めは思うかもしれません。ですが自分の感覚を言葉にしようと意識をすることは、脳のトレーニングにも良いですし、何度も繰り返し言葉にすることで確実にコメント力は上がるので、ぜひ楽しみながらワインの表現方法を身に着けていってくださいね。
慣れないうちは難しく感じてしまうかもしれないので、友人や家族と一緒に同じワインを飲んで、お互いに感じた印象を交換し合うことで少しずつ、「こういう香りは○○と表現する人が多いのか」、「この味わいは○○と伝えると共感してもらえることが多いな」など、他の人の感覚と自分の感覚をすり合わせていくのがオススメです。
ひとりでじっくりテイスティングしてみてもいいですし、友人や家族と一緒に意見を交換し合ってみるとより一層面白いですよ。ぜひ次回ワインを飲む際は、少し意識を集中してワインと向き合ってみて、自分が感じたことを言葉にして表現してみてくださいね。