お手頃価格で高品質なワインが楽しめる、チリワイン。2015年以降、日本の輸入量第一位を誇る人気ぶりです。
「コスパ最高!」なんて呼び声が高いけど、いったいどんな歴史・気候の中で、どんなワインが造られているのでしょうか。
普段何気なく飲んでいるチリワインについて、ちょっと基本の情報を知っておきたい。なんて方に。今回は、チリワインの基本情報を紹介していきたいと思います。
チリワインについて【歴史と気候をチェック】
チリってどこにあるか、わかりますか?
チリは、南アメリカ大陸の南西部にある、細長?い国です。南北に長いので、北側と南側では気候が大きく違います。
南部は涼しくて湿った気候、北部は気温が高くて乾燥しています。南半球にあるので、日本とは逆で北が暖かく、南になるほど涼しいという特徴。北半球でいうとスペインやアフリカあたりに似た気候です。
チリワインの歴史について
「新世界」と呼ばれるチリワイン。その品質の高さから、ここ30年くらいで世界中に知れ渡りました。
けれど、チリのワインの歴史は意外と長く、チリではじめてブドウの木が植えられたのは、1500年代にも遡ります。今から400年以上も前、スペインの征服時代です。
その後、1800年代になると、ヨーロッパからの移民によって様々な種類のブドウが植えられていきます。
特に多いのはフランスのボルドーから。現在、チリで作られているカヴェルネ・ソーヴィニヨン、メルローなど……多くのブドウがボルドー由来です。
ワインのための恵まれた気候について
チリはワインにとって、とても良い、恵まれた気候と環境を持っています。
例えば、ワインの大敵の害虫「フィロキセラ」。フィロキセラを予防するために、ヨーロッパなどでは「接ぎ木」といって、害虫に強い土台となる基本の木の上に違う木を繋いでブドウを育てる方法が主流です。
一方、チリにはフィロキセラがいないので、接ぎ木せずに、歴史あるブドウ木だけで育てることができます。このことから、ワインにブドウ木の特色が出やすいと言われています。
また、接ぎ木しないことで、余計な手間がかからず、コストも削減することもできます。
さらに、夏時間の霜や収穫時の雨のリスクがほとんどなく、ワインにとってとても良い天候 の中で、ブドウが育てられています。寒暖の差が大きいのも好ポイントです。
ワインにとって良い条件がそろった環境で、のびのびと育つチリのブドウ。恵まれた気候の中だからこそ、低価格でも質の良いワインが作ることができるのです。
チリワインの選び方【産地やブドウ品種を知ろう】
チリワインの選び方①チリワインの主な産地
チリにはどんなワインの主要産地があるのでしょうか?大きく4つに分けることができます。
- コキンボ
- アコンカグア
- セントラル・ヴァレー
- スール
チリのワイン産地の多くは山と山に挟まれた谷=Valley(ヴァレー)に多いのが特徴です。
おすすめは高品質なものが多い「セントラル・ヴァレー」地区のワイン。さらにセントラル・ヴァレー地区の中でもイチオシは「マイポ・ヴァレー」。チリの伝統的な産地で、カベルネ・ソーヴィニヨンが有名です。
ただ、チリワインはフランスのワイン法ほど地域の名前によって品質が統制されているわけではありません。多くのラベルに書いてある「ブドウ品種」こそ、チリワインを選ぶときの大きなポイントとなります。
チリワインの選び方②おすすめブドウ品種
チリでは、主にスペインとフランスに由来する20を超えるブドウ品種が栽培されています。
また、チリといえば赤ワイン!という印象が強いかもしれませんが、ここ10年ほどでソーヴィニヨン・ブランやシャルドネの白ワインにも注目が高まっています。
今回は、そんなチリのブドウ品種で注目すべき6つを紹介します。
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- カルメネール
- シラー
- ピノ・ノワール
- ソーヴィニヨン・ブラン
- シャルドネ
重めの赤「カベルネ・ソーヴィニヨン」
カベルネ・ソーヴィニヨンは、チリで最も多く栽培されているブドウです。チリのカベルネ・ソーヴィニヨンは、明るい色で穏やかなタンニン。ブラックチェリーやプラムの中にスモーキーなフレーバーが楽しめます。
高品質なワインとして有名なのが、セントラル・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンです。この広大な渓谷には、マイポ、コルチャグア、モールなどの小地域があります。
タンニンがしっかりとした骨格ある赤が好きな人は、マイポヴァレー産がおすすめ。
よりエレガントなボルドースタイルのカベルネを楽しみたい人には、コルチャグア、ラペル・ヴァレーのものがおすすめです。
チリワインを初めて試す!という方はまずは生産量NO.1のカベルネ・ソーヴィニヨンをぜひ試してみてください。
フルーティな赤「カルメネール」
チリならではのブドウ品種、カルメネール。フランス・ボルドーで造られていたブドウが、チリに移植されました。
けれど、フランスのカルメネールは、1860年以降フィロキセラ大流行の影響で、ほぼ絶滅状態に。現在では、ほぼチリのみで楽しめるブドウとなりました。
プラムとブラックチェリーの果実味にマイルドなタンニン。ライトボディでジューシーなメルローのスタイルに似たプロファイルです。なんでも、はじめはメルローと間違えてチリまで持ち帰られたんだとか。
その間違いが、カルメネールの絶滅を救ったと言われています。
カルメネールのほとんどはセントラル・ヴァレー産です。中でもラペル、カチャポアル、コルチャグア・ヴァレーのものは高品質でおすすめです。
果実味とスパイシーさがバランス◎の赤「シラー」
チリのシラーは、最近、ワイン業界の中で人気が出はじめています。エレガントで、プラムフルーツに少しだけスパイスの効いたノート。
そして、チリのシラーはしっかりとしたタンニンを持つのが魅力です。これが、最近の人気の理由でもあります。ぜひ、果実味とタンニンのバランスを楽しんでください。
力強いワインが好きな方はコルチャグア・ヴァレー産を、エレガントなワインが好きな方はエルキ・ヴァレーなど北部で造られるものがおすすめです。
エレガントな赤「ピノ・ノワール」
チリのピノノワールは、ブラックチェリー、プラムにスパイスの効いた、豪華なフレーバー。ベルガモットの花のアロマを楽しめます。タンニンが少なく、滑らかなのも特徴です。
ピノ・ノワールのエレガントな赤。産地はカサブランカ、サンアントニオ、レイダ・ヴァレーなど、アコンカグア地域のものがおすすめです。
爽やかな白「ソーヴィニヨンブラン」
チリのピリッとした、ミネラル感あるソーヴィニヨンブラン。
レモンライム、白桃、グレープフルーツのフレーバー。ボルドーのソーヴィニヨン・ブランによく似た特徴を持っています。
さらに魅力はその価格。最高のソーヴィニヨンブランワインでさえ、2500円未満で探すことができます。やっぱりチリワイン=コスパ最高ですよね。
カサブランカ、サンアントニオ、レイダヴァレーなど、アコンカグア地区のものがおすすめです。
果実味豊かな白「シャルドネ」
育つ場所によって味が大きく変化するシャルドネ。チリのシャルドネは、カリフォルニアのシャルドネに似たトロピカルフルーツのフレーバーが特徴です。豊かな果実味を楽しむことができます。
おすすめは、マイポとアコンカグアのシャルドネ。たった1000?1500円ほどでも美味しいボトルを見つけることができます。
さらに、こだわり派の方には、2000円ほどでより高品質なシャルドネを楽しむこともできます。アコンカグア・バレー内の、カサブランカ、サンアントニオ、レイダ・ヴァレーなどから探してみてください。
コスパ最高のチリワイン!いろんなブドウを飲み比べて楽しもう
1000円前後から美味しいワインが楽しめるチリワイン。お手頃で高品質なワインがたくさんあるので、ワイン初心者さんにもおすすめです。
ブドウ品種が多く、世界的に有名なブドウ品種がそろっているのも魅力的ですよね。
ぜひ、チリワインを飲み比べながら、お家でのワイン時間を楽しんでみてください!