レアなワイン#4 正真正銘の”最高峰”「ロマネ・コンティ」

もっともレアで高級なワインと言えば、やはり「ロマネ・コンティ」です。

あらゆるワインには比喩的に「最高峰」といった称賛が与えられます。

しかし、ロマネ・コンティは、あらゆる意味で正真正銘の最高峰です。

 

本記事では、ロマネ・コンティの味わいや価格、歴史などについて解説します。

 

ロマネ・コンティ、いくらする?

ロマネ・コンティは、一言で言うと「世界一高いワイン」。

フルボトルで、安くても100万円から500万円という異常な価格になっています。

高ければ8,000万円くらいの値段が付けられている、とにかく狂気の沙汰のようなワインです

「いつか機会があれば飲んでいただきたい」……というフレーズを言う気すら起こりません。

 

ちなみに、もっとも希少な1945年のヴィンテージ(ジェロボアム:3リットルボトル)には、10億円という値段が付けられたことも。

これはDRCロマネコンティ(ロマネ・コンティ所有者)の経営権などに付けられた値段ではありません。

 

たった3リットルのぶどう酒一本に付けられたのが10億円という価格です。

ちなみに1mlを1滴とすると、1滴で約33万円という計算になります。

 

なぜロマネ・コンティがとんでもなく高価かというと、一言で言えば「異常なまでにレア」だからです。

ロマネ・コンティは、世界中で知られている著名なワインであるにもかかわらず、生産規模が限られています。

 

なんとロマネ・コンティに使われるぶどう畑の面積は、たったの1.7ヘクタール。

わかりやすく言うと、東京ドームの1/3程度の広さでしかありません。

東京ドーム何個ぶん、という話ではありません、「東京ドームにすら及ばない狭さ」ということです。

そして1.7ヘクタールのぶどう畑から生産されるロマネ・コンティは、年間でわずか6,000本程度。

 

数に限りがあって需要も高いものは、当然ながら「争奪戦」になります。

世界中のリッチな人々は、「いくら払ってでもロマネ・コンティを手に入れたい」と競い合っているのです。

ロマネ・コンティを持っているというのは、彼らにとって「ステイタス」。

味がどうか、というよりも、ロマネ・コンティを持っていることにスラ意義が見出されています。

 

彼が繰り広げる「奴がそれだけしか出さないなら、私はもっと出す」というようなホットなオークションが終わる頃には、上記のような値段に跳ね上がっています。

ロマネ・コンティの味わい

ロマネ・コンティの味わいは、流石に飲んだ試しがないので、飲んだことがある人たちの言葉を借りることとしましょう。

わかりやすく言えば

 

  • 飲み手の魂を奪う
  • 全身に雷が落ちたような感覚を得る
  • 偉大の一言に尽きる
  • この世の始まりと終わり(?)

 

とのことです。

まるで詩人のような表現で、ロマネ・コンティは称賛されています。

 

もっと細かく表現するのであれば、

 

  • 瑞々しい香り
  • 口の中で転がすと広がる、樽とローストの香り
  • リキュールから感じられる奥ゆかしい甘みと酸味
  • ぶどうそのもののような果実味
  • 豊富なタンニン
  • ブルーベリーやストロベリーの風味

 

というように、さまざまな感想が寄せられています。

たいへん複雑な構造のテイストに仕上がっているようです。

 

ただ、ロマネ・コンティの味わいを知るには、飲む側にもポテンシャルが求められます。

つまりワインを飲んだ経験、知識、あるいは体力まで問われるのです。

 

よって、初心者が(何かの偶然が絡んで)ロマネ・コンティを飲む機会に恵まれたとしても、「あんまりおいしくない」と言いがち。

決して、初心者がいきなり飲むものではありません。

ロマネ・コンティの歩んだ歴史

ロマネ・コンティの歴史は、なんと2000年前から始まります。

ローマ帝国時代、現在ロマネ・コンティの畑があるヴォーヌ・ロマネ村では、ワインの製造が盛んに行われていました。

ローマ人たちはヴォーヌ・ロマネ産のワインを高く評価。

ヴォーヌ・ロマネは「ロマネ」という略称を愛称として親しまれていました。

 

西暦1000年ごろ、ロマネのぶどう畑は修道院が所有するようになります。

当時は修道院がワイン作りに深く関わっていました。

ロマネのぶどう畑も例外ではなく、修道院によって育てられます。

 

1760年、「ロマネ・コンティのぶどう畑」を奪い合う争いが起こりました。

ほんのわずかな面積しかないぶどう畑に、ある貴族たちが躍起になります。

 

戦争を繰り広げたのは、コンティ家王の直系子孫である「ルイ・フランソワ1世」。

そして彼とぶどう畑を奪い合ったのが、ルイ15世の愛人であった「ポンパドール婦人」。

(基本的にワイン中毒な)貴族にとって、最高のワインを生み出すぶどう畑は、何がなんでも手に入れたいものでした。

 

争いに勝ったのは、ルイ・フランソワ1世のほうでした。

ポンパドールはというと、あまりの悔しさに、自身が住むヴェルサイユ宮殿からすべてのブルゴーニュワインを排除してしまいます。

それだけポンパドールもぶどう畑が欲しかったのでしょう。

 

ルイはロマネに「コンティ」の名前を与え、とうとう「ロマネ・コンティ」が誕生しました。

しかし、コンティ家がロマネ・コンティを所有していられたのは、ほんのわずかな間。

 

1789年、件のフランス革命が起こります。

革命の中で、ブルゴーニュ地方で貴族が所有するぶどう畑は全て政府に取り上げられてしまいました。

以後、政府によって運用される時代が続きます。

 

1800年、ある逸話が誕生します。

当時のフランス最高権力者であるルイ14世は、痛風や胃腸の不調を治療するために、「毎日少しずつ、ロマネ・コンティを飲んでいた」とのこと。

 

ロマネ・コンティを飲んだからといって病気が治るというのは、疑わしい部分があります。

しかし当時のフランス最高権力者が頼ったという事実は、当時のロマネ・コンティがどのように評価されていたかがうかがえます。

 

当時はまた、「清潔な水を飲むのが難しい」という世の中でした。

よってアルコール飲料であるワインは、リスクなく水分を補給できる貴重な手段だったのです。

そういった理由からも、ルイ14世はロマネ・コンティを選んだのでしょう。

 

1869年、ワインの世界で圧倒的な権力を持つオベール・ド・ヴィレーヌ一族が、ぶどう畑を買収しました。

本格的なロマネ・コンティづくりが始まった瞬間です。

 

1942年、現在の経営母体である「DRC」が法人化。

同時に、これまたワインの世界では重鎮であるルロワ一族が、共同経営者として迎え入れられました。

ようやく現在の組織体制が完成します。

 

以後は、「第二次世界大戦の煽りを受けたため、生産中止する」というようなトラブルもありました。

しかしヴィレーヌとルロワ両家の間で、基本的には安定した経営が計られています。

ちなみに現在は、ペリーヌ・フェナルという女性が、経営者として就任しています。

ロマネ・コンティの生産環境

ロマネ・コンティが生まれるヴォーヌ・ロマネは、標高250メートルあたりに位置します。

この標高は、ワイン作りにとってパーフェクト。

太陽光が限りなく降り注ぎ、気温もほどよく冷涼です。

 

土壌は石灰岩を含みつつも理想的な粘土質。

ピノノワールを育てるにあたって、もっともすぐれた土壌です。

 

そして高級ワインにはもはや欠かせなくなった、「ビオディナミ」が用いられています。

2007年から用いられたビオディナミによって、ロマネ・コンティはさらなる進化を遂げました。

 

気候、気温、生産技術……どの観点から見ても、ロマネ・コンティの生産環境は抜群です。

ロマネ・コンティの当たり年

「当たり年がわかったからなんなのだ」という価格ですが、いちおうロマネ・コンティの当たり年を紹介しましょう。

 

ロマネ・コンティ最大の当たり年は、1945年です。

今からなんと75年前、ちょうど第二次世界大戦が終結した土地ですね。

 

1945年、ロマネ・コンティは、「奇跡」としか言いようのない天候に恵まれました。

さぞワイン作りにも熱が入ると思われるのですが、そうではなかったのです。

なぜなら、当時は第二次世界大戦において攻撃の影響を受けたいたから。

よって1945年、ロマネ・コンティはたったの608本しか生産できていません。

 

その他、

 

  • 2015年
  • 2009年
  • 2005年
  • 2004年
  • 1990年

 

あたりは、「当たり年」であると言われています。

ただし、ロマネ・コンティは30年ほど寝かせるのがベターとのこと。

つまり2015年のロマネ・コンティを本質的に楽しむなら、開けるのは2045年前後となります。

 

現実的に、ロマネ・コンティを味わう方法について考えてみる

フルボトルのロマネ・コンティを手に入れるのは、なかなか難しい部分があります。

ただしテイスティング程度であれば、ロマネ・コンティを味わうことは可能です。

レストランやバーであれば、10万円ほど用意があるなら、グラス1杯分くらいならサーブしてもらえるでしょう。

 

ただ、ロマネ・コンティを理解しようとするならそれなりの経験が必要です。

5大シャトーあたりからでも構わないので、ワインに対する造詣を深めておかなければなりません。

 

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タイプ:赤ワイン/産地:ワイン(産地別),フランス,ボルドー,「ラトゥール」のセカンドワイン。,販売価格36994円,ワ…

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タイプ:赤ワイン/産地:ワイン(産地別),フランス,ボルドー,商品情報:カシスやブラックチェリーのような黒系果実のアロマ…

こういったワインを理解できて、初めてロマネ・コンティの境地にたどり着くと言えるでしょう。

まとめ

ロマネ・コンティは、あらゆる条件が重なった結果、とんでもない価値を持つようになりました。

安くてもフルボトルで100万円が当たり前、ヴィンテージになれば単位は億へ変わることも。

今でも大富豪たちが、「なんとかしてロマネ・コンティを手に入れるのだ」と息を巻いています。

 

ただ、現実的にロマネ・コンティを飲む方法がないわけでもありません。

テイスティング程度でよいのなら、数万円でロマネ・コンティを飲むことが可能です。

 

ただ、初心者がいきなり飲んでも、ロマネ・コンティの味は”わからない”でしょう。

それ以外のワインについて熟知してから、初めて飲む価値があると言えます。

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