ワインのマナー ~ワインの選び方編~

ワインのマナー ~ワインの選び方編~

ワインを飲みたいけど、ワインってなんだか難しそう。そんなあなたのために、ワインのマナーについて詳しく解説します。

第1回は、ワインを選ぶときのマナーについてです。

ワインの選びかた

レストランに行ったときに、手際よくワインをオーダーできるとスマートですよね。ワインを少し知るだけで、その時々に応じたワインの注文ができるようになります。

たいていのレストランでは、食事のメニューのほかに、ワインリストが用意されています。たくさんあるワインの中から何を選んでいいかわからない、というかた、まずはソムリエに相談してみましょう。しかし、「おすすめをお願いします」だけでは、ソムリエも困ってしまいます。

まずは、予算を伝えましょう。

具体的に金額を口で伝えるのではなく、ワインリストに掲載されている価格を指して、「このくらいの値段で」と予算を伝えましょう。

また、ワインは、食べ物との相性が非常に大切です。食べるものを決めてから、それに合ったワインを相談するとよいでしょう。料理に最適なワインを提案することはソムリエの仕事ですから。ある程度のワインの好みを伝えましょう。「さわやかな白ワイン」「しっかりしたの赤ワイン」など、イメージを伝えると好みに合ったワインを選んでくれます。

ワイン選びのためにおさえておきたい基本

好みもわからないかたのために、ここで少しワインの基本を説明しましょう。

白ワインと赤ワインのブドウ品種

まず、白ワインと赤ワインの違いです。

白ワインは白ブドウをプレスして、その果汁を発酵させて造ります。一方、赤ワインは黒ブドウの果皮と種子も一緒に発酵させて造ります。ワイン独特の渋み(タンニン)と赤い色は、果皮と種子からくるものです。したがって、白ワインにはタンニンがありません。

ロゼワインは、白ワインと赤ワインの中間といえますが、どちらかというと白ワインに近い味わいと考えてよいでしょう。

スパークリングワインは、発泡性のワインで、白、赤、ロゼがあります。

では、白ワインと赤ワインの代表的なブドウ品種をご紹介しましょう。

白ワインの代表格のブドウ品種は、なんといってもシャルドネ。フランスが原産のブドウ品種ですが、世界で広く生産されています。香り高いワインで、華やかな味わいです。

もうひとつ覚えておきたいのは、ソーヴィニヨン・ブラン。フレッシュなフレーバーが特徴のワインです。

赤ワインは、ボルドータイプとブルゴーニュタイプをまずは覚えましょう。ボルドータイプの品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローです。カベルネ・ソーヴィニヨンは、世界で最も生産量の多いブドウ品種です。赤の濃い色調で、カシスのような芳醇な香りです。若いうちは渋みが比較的あり、成熟するとまろやかな味わいになります。

メルローはブラックチェリーやプルーンのような果実の香りで、なめらかな味わいです。ボルドータイプの多くは、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローをブレンドして造られます。

一方、ブルゴーニュタイプのブドウ品種は、ピノ・ノワール。色はやや薄く、イチゴやラズベリーの香りで、味わいは繊細でエレガントです。

また、ボトルの形は、ボルドータイプはいかり型、ブルゴーニュタイプはなで肩が一般的です。

ワインの産地

ブドウ品種をおさえたら、次はワインの産地です。

ワインの産地は、「旧世界」と「新世界」に分かれます。旧世界は、フランスやイタリア、スペインなど、歴史的に古くからワインが造られているヨーロッパを中心とする国です。

一方、新世界は、ワイン造りの歴史が浅い国のことで、アメリカ、チリ、オーストラリアなどです。

「ワインといえばフランス」というイメージをもっているかたも多いでしょう。フランスワインは味わい深いという一般的な印象があります。イタリアワインはバラエティーに富んだ味があり、スペインワインは濃い赤ワインで知られています。カリフォルニアワインはボルドータイプの味を楽しむことができ、チリワインは特にカベルネ・ソーヴィニヨンが有名、オーストラリアは高品質ですがお手頃価格で楽しむことができます。

ブドウ品種と産地の概要を知っておくと、好みのワインを選ぶことができるようになります。いろいろ飲んで好みを見つけてみましょう。

ワインの順番

ワインには、飲む順番があります。グラスでもボトルでも複数のワインをオーダーする場合、順番を覚えておきましょう。

まず飲みたいのは、スパークリングワイン。泡が食欲を刺激する効果もあります。また、グラスの底から立ちのぼる泡は華やかで、乾杯にも最適です。

そして、味わいの軽いものから重いものという順番で飲んでいきます。重い味わいのワインを先に飲んでしまうと、軽いワインの味わいが感じにくくなってしまうためです。

一般的には、白いワインのほうが赤ワインより軽めの味わいのため、白ワインを飲んでから赤ワインを飲みます。

若いワインのほうが、熟成したワインより軽やかな味わいです。ヴィンテージの若いものから古いものの順番で飲んでいくのも基本です。

また、値段の高いもののほうが概して味わいは重厚になります。値段がすべてではありませんが、一般的に安いものから高いものの順番で飲んでいきます。

最初にスパークリングワインをグラスで1杯飲んでから、ボトルを注文することもあるでしょう。そのときは、「とりあえず、スパークリングワイン」といわないようにしましょう。

居酒屋では「とりあえず、ビール」でもいいかもしれませんが、「とりあえず」というのは「なんでもいいから」といった意味合いもあり、ソムリエに対しても失礼です。

「まずは食前にスパークリングワインをお願いします」と注文しましょう。スパークリングワインを飲みながら、何を食べるか、何のワインにするかを選ぶ時間は楽しいひと時となるでしょう。

ワインのラベルの読みかた

ワインのラベルは、横文字ばかり並んでいて難解と思っているあなた。読みかたさえわかるようになれば、どんなワインかを知ることができます。

ワイン名・・・ワインの名前はシャトー名だったり、ブランド名だったりしますが、たいてい大きく記載されています。

原産地呼称・・・ワイン法に基づく格付けのことで、一定の基準に達したワインにだけ付与されます。フランスはAOC、イタリアはDOCGと呼ばれます。フランスワインは、「Bordeaux」などと産地も記載されます。

ブドウ収穫年・・・ヴィンテージと呼ばれ、原料であるブドウが収穫された年を表します。

生産者名・・・ワイン名が生産者名の場合もあります。そうでない場合は、ワイン名と同じく、大きく表記されます。

原産国・・・France、Italyなどの国名。

そして、アルコール度数(12%など)と容量(750mlなど)が記載されます。

これらさえ読むことができれば、ワインの情報のほとんどがわかったことになります。

原産地呼称と産地の記載は、狭くなるほど産地が限定され、ランクが上になりますが、それは徐々に覚えていけばOKです。また、Riserva(リセルヴァ)など、階級が書かれていることもあります。地区が限定されていたり階級の記載があれば高級になる、ということをまずは知っておくとよいでしょう。

まとめ

ワインの選びかたを知っていると、ワインを選ぶのがおもしろくなり、ワインを飲む時間がますます楽しくなります。ワインを選んだら、次はテイスティングです。次回はテイスティングのマナーについてお話しします。

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