底知れぬ魅力を秘める白ワイン、「ドメーヌ・ルフレーヴ」とは?

底知れぬ魅力を秘める白ワイン、「ドメーヌ・ルフレーヴ」とは?

著名な白ワインとして、「ドメーヌ・ルフレーヴ」というものが存在します。
常に「褒めちぎられる」ような評価を受けており、ワイン愛好家からは憧れの的として捉えられています。
味わいや香り、そして製造までに至る努力と創意工夫は、間違いなく世界最高水準です。
一度飲めば、決して忘れられないインパクトが残るでしょう。

とはいえ、「ドメーヌ・ルフレーヴについてよく知らない」という人も、多いかもしれません。
たしかに「ロマネコンティ」や「シャンパン」などと比較すると、知名度は少しだけ劣ります。

本記事では、ドメーヌ・ルフレーヴの魅力や歴史について、詳しく解説します。
ぜひ、参考にしてください。

ドメーヌ・ルフレーヴとは、どんなワイン?

まずはドメーヌ・ルフレーヴが、どのようなワインなのかおさえておきましょう。
ワインをたしなむ人なら、ドメーヌ・ルフレーヴについては知っておいて当然とさえ言えます。

味わい

ドメーヌ・ルフレーヴの味わいは、もちろん「世界最高峰」として評価されています。
伝統的な白ワインを踏襲した、透明感と爽やかさが最大のポイント。
甘さは控えめで程よくエッジが立っており、アロマは複雑かつ豊潤。
そしてエレガントな果実味とやさしい舌触り。

白ワインにあり得る美点をすべて金揃えたドメーヌ・ルフレーヴは、ワイン愛好家のハートを掴んだまま離しません。
一言で言って、他の白ワインとは明らかに格が違います。

かといって後述するように、「高すぎて手に入れられない」というような価格設定でもありません。
誰でも気軽に楽しめる可能性のあるワインです。

使われているぶどうの品種は、そのほとんどが「シャルドネ」。
不器用なまでにシャルドネへ固執する姿勢から、唯一無二の個性が生まれているのです。

価格帯

ドメーヌ・ルフレーヴの価格帯は、おおむね1本あたり70,000円から130,000円といったところ。
ただしレストランなどでオーダーした場合は、もう少し高くなるかもしれません。
先ほども触れましたが、決して「富豪でなければ手が出せない」というような価格帯ではなく、そのクオリティからすればむしろ良心的な部類です。

ただしワインの常として、一部ヴィンテージは100万円を超えることもあります。
逆に数千円で楽しめるバリエーションも、最近では人気です。

ドメーヌ・ルフレーヴの歴史

ドメーヌ・ルフレーヴは、ワインの名前でもありながら、「生産者の名前」でもあります。
ドメーヌとは、簡単に言えば「小さなワイン製造業者」といったところです。
いったん製造業者としての「ドメーヌ・ルフレーヴ」について、振り返っておきましょう。

ドメーヌ・ルフレーヴは、なんと120年以上の歴史を有する、名門中の名門です。
ドメーヌ・ルフレーヴは、1900年ごろ、「ジョゼフ・ルフレーヴ」によって設立されました。
彼には先見性があり、「これからはワインだ」と判断して、設立を決意したようです。
そしてその先見の明は的中しており、ルフレーヴは世界でももっとも成功したドメーヌとなりました。

ドメーヌの設立は、ジョセフにとっても「一世一代の勝負」だったと推測できます。
元々、ジョセフは小さな製鉄工場を経営していました。
しかし第一次世界大戦の影響があって、製鉄工場を廃業することになります。
そんな経緯があったあとで、彼は持てる財産すべてをドメーヌへ注ぎ込んでいるのです。

もちろん当時のジョセフは、決して「ワインの専門家」などではありません。
人並み以上にワインが好きだったのかも知れませんが、ワイン生産のノウハウを熟知しているわけではありませんでした。
ジョセフが勝負に出ていなければ、ドメーヌ・ルフレーヴは誕生していなかったかもしれません。

ジョセフの死後、息子兄弟であるジョーとヴァンサンがワイン事業を継承。
そして「ドメーヌ・ルフレーヴ」の名前は、ジョーとヴァンサンの世代で一気に世界中で知られるようになります。
1970年ごろ、兄弟は、当時まだ珍しかった「空調設備」をワイン作りへ持ち込み、温度コントロールや品質管理をブラッシュアップさせます。

その環境で生み出された白ワインは、ブルゴーニュワインらしく最高峰のクオリティに仕上がりました。
そのクオリティが評価され、ドメーヌ・ルフレーヴは、ブルゴーニュ地方有数のドメーヌとして知られるようになります。

そしてジョーとヴァンサン死去したあとは、また息子のオリヴィエへ継承されました。
というようにドメーヌ・ルフレーヴは直系の家族経営を3代に渡って展開しています。
いずれに家業もそうですが、直系卑属の家族経営において、ビジネスを3代で守りぬくというのは、尋常ならざることでしょう。

現在のドメーヌ当主は、「ブリス・ドラ・モンディエール」という人物に変わっています。
彼は35名いるルフレーヴ家の後継者候補の一人で、公平に投票で選出された人物です。
「ルフレーヴ」という姓は外れていますが、ジョセフとその息子兄弟、そしてオリヴィエのスピリットを受け継いでいることは、間違いありません。

ちなみにドメーヌ・ルフレーヴは、現在25ヘクタールものぶどう畑を有するに至っています。
しかもぶどう畑は、「ワイン用ぶどう」において世界最高の環境である「モンラッシェ」と「ムルソー」に展開。
現在もこれ以上ない環境から、ワールドクラスの白ワインを次々と輩出しています。

ドメーヌ・ルフレーヴの製法

ドメーヌ・ルフレーヴの製法は、とても興味深いものです。
製法を知れば、ドメーヌ・ルフレーヴへの関心も、グッと高まるでしょう。

最大のポイントは、「ビオディナミ」農法

ドメーヌ・ルフレーヴの製造における特徴は、やはり徹底した「ビオディナミ」農法。
ビオディナミ農法とは、一言で言えば「土壌や太陽光など、自然界のエネルギーでワインを作る」という農法です。

これは、「単に理想的な環境・気候・条件をそろえる」というだけではありません。
ビオディナミ製法は、なんと「哲学」に基づいたものです。

ドイツ人哲学者ルドルフ・シュタイナーは、「農業講座」という理論を提唱しました。
ルドルフいわく、「ありとあらゆる生命は、宇宙のなかで影響を与え合い、共鳴しながら生きている」とのことです。
ドメーヌ・ルフレーヴは、その理論に基づいて、土壌や気候はもちろんのこと、天体の位置や日付までもをワイン作りに取り入れます。

とてもスピリチュアルな発想であり、「何を言ってるんだ?」と思う人もいるかもしれません。
しかしドメーヌ・ルフレーヴでは、この考え方を徹底して守り続けています。
そして結果として、押しも押されぬ名門へと成長したわけです。

ちなみにビオディナミ製法は、飲み物や美容用品、食べ物などでも一般的に使われています。
たしかに元々はスピリチュアルな発想なのですが、理には叶っているのです。

ちなみにドメーヌ・ルフレーヴは、「ビオディナミをワイン作りに取り入れた、パイオニア的存在」として認識されています。
今ではそれを追従するように、ビオディナミにトライするドメーヌが増えているようです。

伝統的な醸造

ぶどう作りではトリッキーな手法を取り入れているドメーヌ・ルフレーヴですが、醸造はきわめて伝統的でオーソドックスに行われています。
基本的な流れは、

  • 30日から60日、オークバレルでぶどうを発酵させる
  • 別なバレルにて、1年間熟成させる
  • ステンレス製容器で、さらに半年間保管される

というものです。
いわゆる「スタンダードなブルゴーニュの製法」といったところ。
よってブルゴーニュワインらしい気品や高級感は、しっかりと主張した仕上がりになっています。

よってドメーヌ・ルフレーヴは、「ビオディナミによる特徴的な味わい」と「伝統的な製法による安定感」を兼ね揃えるワインだと評価されているのです。
ルフレーヴ・ファミリーが試行錯誤の末にたどり着いた農法と製法によって得られる味わいは、ぜひ試してもらいたいところ。

多種多様な「ルフレーヴ」

現在ドメーヌ・ルフレーヴはさまざまなバリエーションを展開するに至っています。
いずれも高い評価を受けている、ハイパフォーマンスな白ワインが勢揃い。
下記では、特におすすめできる「ルフレーヴ」について紹介します。

ドメーヌ ルフレーヴ/ムルソー プルミエ クリュ スー ル ド ダ-ヌ [2018]

ぶどうたちの天国とも言える環境が揃う「ムルソー」から生み出された、大人気のルフレーヴ。

活きいきとしたミネラル感と、気品のある風味が強調されています。
ずっしりとした果実味を保ちつつも「キレ」があり、とても飲みやすいテイスト。
非常に難しいバランスを、ものの見事に実現している精巧な白ワインです。

価格も、ドメーヌ・ルフレーヴの中ではかなりリーズナブルです。
にもかかわらずクオリティは抜群であり、「試飲」するにはうってつけの一本。

ドメーヌ ルフレーヴ/ビアンビニュ バタール モンラッシェ グラン クリュ [2018]

これは、「ルフレーヴ」のキャラクターがわかりやすく表現された1本です。
スパイシーさすら感じさせる風味と、柑橘系のフレーバーが最大の持ち味。
甘さは控えめで、味と香りには特有の透明感があります。

唯一無二とも言える魅力を持っており、「一度飲んだら、二度と忘れられない」クオリティに仕上がっています。
「赤ワインしか飲まない」という人の価値観や習慣すらも、たやすくひっくり返すポテンシャルがあると言っても、過言ではありません。

まとめ

ドメーヌ・ルフレーヴは、世界でもっとも優れた白ワインのひとつです。
と同時に、ワイン生産者としては名門中の名門でもあります。

ワインとしてのドメーヌ・ルフレーヴはきわめて評価が高く、一流のソムリエも賛辞の言葉を述べるしかありません。
にもかかわらず、富裕層でなくとも入手でき、ある程度は気軽に試せます。

革新的な農法とブルゴーニュ風の製法、そしてルフレーヴ家の思いが詰まった「ドメーヌ・ルフレーヴ」を、ぜひ一度試してみてください。

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