夏に飲みたいスパークリングワイン

暑い夏は、さわやかな飲み口のスパークリングワインが飲みたくなります。キリっと冷えたスパークリングワインは、のどごしもよく、夏にぴったりです。

スパークリングワインの基本

「スパークリングワイン」とは、発泡性のワインの総称。イタリアでは、スプマンテといいます。スパークリングワインの製法には、次のような大きく3つの方式があります。

(1)トラディショナル方式

スパークリングワインといえば、まずシャンパンを思いうかべる人が多いでしょう。シャンパンがこのトラディショナル方法で作られているため、シャンパーニュ製法とも呼ばれます。シャンパンは、フランスのシャンパーニュ地方で作られるスパークリングワインのこと。そのほか、フランスの「クレマン」、スペインの「カヴァ」、イタリアの「フランチャコルタ」が、トラディショナル方式で作られています。

この方式は、瓶詰めしたワインに酵母を加えることにより、瓶内で発酵を起こさせる製法です。まず、ブドウがアルコールに変わる発酵があり、これを一次発酵と呼びます。次に、一次発酵をしたワインを瓶に詰め、そこに酵母を加えて瓶内で二次発酵させます。二次発酵の期間では、まだコルクはせずに、瓶ビールの王冠のような栓をしておきます。瓶の口のほうを下に向け、ななめに置いておき、毎日少しずつ回転させると、口のほうに澱が溜まっていきます。この動瓶の作業はルミアージュと呼ばれ、伝統的には手作業でおこなっていましたが、現在は、生産者の多くが大きなカートに瓶を入れ、機械を使って回転させています。その後、瓶の首の部分を冷却させて栓を抜くと、澱の部分だけが抜けます。この澱抜きの作業は、デゴルジュマンと呼ばれます。そして、澱が抜けた分だけ糖分を補充(この補充のことをドサージュと呼びます)し、コルク栓をします。

このトラディショナル方式で作られるスパークリングワインの泡は、数が多く、きめ細かいのが特徴です。グラスに入れてからも泡が長い間持続します。口の中でも、舌を刺激せず、なめらかな口当たりです。

(2)シャルマ方式

シャルマ方式は、一次発酵させたワインを瓶詰めせずに、大きなタンクに入れて、二次発酵をおこなう方法です。一度に大量のスパークリングワインを短期間に作ることができ、品質管理がしやすいというメリットがあります。シャルマ方式のスパークリングワインは、ブドウ由来のフルーティーさが魅力で、フレッシュな味わいが特徴です。また、低価格で楽しむことができます。

イタリアのスパークリングワイン「プロセッコ」は、この方式で作られています。

(3)炭酸ガス注入方式

これは、瓶の中に入れたワインに文字通り炭酸ガスを注入してスパークリングワインを作る方式です。人工的な泡のため、泡が大きく、すぐ消えてしまいます。舌を刺激するような泡になります。

食事と一緒に楽しむスパークリングワイン

泡が華やかなイメージのあるスパークリングワインは、パーティのときの乾杯に使用されたり、さわやかな飲み口ゆえ、食前酒として最初の1杯に飲まれたりすることが多いもの。しかしそれだけでなく、スパークリングワインは、食事と一緒に楽しむことができ、特に夏には最適なワインです。サーモンのマリネやカルパッチョなどのライトな食事や、アサリのパスタなどのさっぱりとした魚介料理、揚げナスのサラダや生ハム&メロンのような夏の素材の最高のお供になります。スパークリングワインはデリケートな味わいですので、繊細な和食とも相性がいいです。暑いときに元気の出るエスニック料理にもスパークリングワインを合わせることができます。

食事と一緒にスパークリングワインを飲むときに注意したいのは、まずグラスの形です。シャンパンタワーをするときに使われるクープ型のグラスは、避けましょう。空気に触れる面積が大きいので、香りも泡もとびやすく、せっかくのスパークリングワインのおいしさが半減してしまうためです。細長いフルート型は、口の部分が狭く、香りを充分に楽しむことが難しくなります。おすすめは、少し口の広い白ワイングラスのようなグラスです。

そして、温度にも注意したいところです。冷たすぎると香りも味も感じにくくなります。8度くらいが適温です。

おすすめのスプマンテ

プロセッコは、世界で最も売れているスパークリングワインで、年間約4億本生産されています。イタリアのヴェネト州、ヴェネツィアの北の地域で作られます。主要なブドウ品種はグレラで、土着品種のグレラ・ルンガ、ヴェルディゾ、ペレラ、ビアンチェッタや、国際品種のシャルドネなどがブレンドされます。大量に生産されている中から、好みのものを選ぶのは難しいと思われれるかもしれません。目安になるのは、生産地です。コネリアーノ、ヴァルドッビアーデーは、もともとプロセッコを作っていた地域で、好条件な立地です。コネリアーノ、ヴァルドッビアーデネは、2019年にユネスコの世界文化遺産に登録された地域で、それだけ美しい景観が広がっています。一番上の格付けDOCG(統制保証原産地呼称)の「コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネ・プロセッコ・スペリオーレ」は、この地域で生産されるプロセッコです。その中でも、特級畑「カルティッツェ」で作られるプロセッコは上品な味わいです。

コル・ヴェトラーツのプロセッコ「スペリオーレ ディ カルティッツェ」は、きめ細かい泡で、白い花、白桃のニュアンスがあります。

プロセッコはアルコール度数が低めなので、暑い夏にもおすすめです。

トラディショナル方式のスプマンテのフランチャコルタは、ロンバルディア州東部のフランチャコルタ地域で作られます。ここはVIP避暑地として知られるコモ湖と、イタリア一面積の大きいガルダ湖に挟まれたイゼオ湖の南に位置します。イゼオ湖も、ヨーロッパでは大変人気のあるバカンス地です。夏はアルプス山脈から吹く北風が高温多湿を飛ばしてくれ、冬は湖のおかげで温暖という微気候(マイクロ・クライメット)が生み出され、ブドウの栽培に適しています。ブドウ品種は、シャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネーロ、エルバマットが使用されます。フランチャコルタは、瓶内二次発酵のワインとしてはイタリアで初めてDOCGになりましたから、それだけ知名度のあるスプマンテです。その中でも不動の人気のカ・デル・ボスコの「フランチャコルタ ブリュット キュヴェ プレステージ」。繊細なブーケがあり、イーストやトロピカルフルーツのニュアンスがあり、エレガントでなめらかな味わいです。

フランチャコルタで、もうひとつのおすすめは、モンテロッサ。小規模な家族経営の作り手ですが、高品質なスプマンテを生産しています。「プリマ キュヴェ フランチャコルタ ブリュット」は、キンモクセイやメロンのニュアンスがあり、やわらかい口当たりです。ぜひサーモンと合わせたいです。天ぷらにもおすすめです。

ふくよかな味わいのスパークリングワインが飲みたいときは、ロゼがおすすめです。ベッラヴィスタの「フランチャコルタ ロゼ」は、華やかなブーケが広がり、ベリー系の果実のニュアンスがあり、優美な味わいです。しっかりした味の料理や、肉料理にも合わせることができるスプマンテです。

ぜひスパークリングワインを食卓に取り入れて、暑い夏をおいしく過ごしましょう。

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