イタリアワインの代表格「キャンティ」と「キャンティ・クラシコ」とは?

イタリアワインの代表格「キャンティ」。世界に名を馳せるキャンティですが、生産地域が広いため、ワイナリーも多く、味わいの幅も広いため、選ぶのが難しいワインでもあります。そこで、キャンティの魅力と違い等、おすすめのキャンティをご紹介します。

キャンティとは

キャンティは、イタリア中部のトスカーナ州、キャンティ地域で作られる赤ワインです。「キャンティ」という行政地区があるわけではなく、「キャンティ」という名前のワインが生産される地域をそのように呼んでいます。

キャンティ地域には、「キャンティ」地区と「キャンティ・クラシコ」地区があり、それぞれ「キャンティ」ワインと「キャンティ・クラシコ」ワインが作られています。

キャンティ・クラシコの「クラシコ」とは、「伝統のある」という意味で、文字通り歴史のある地区です。1716年、トスカーナ大公コジモ3世がフィレンツェとシエナの間にあるワイン産地を「キャンティ」と定めました。その後、20世紀になり、ワインの生産が増え、キャンティの周りの地区でもキャンティワインが生産され始めました。そこで、もともとのキャンティ産地を「キャンティ・クラシコ」、その周りを「キャンティ」と区別することになったのです。

キャンティもキャンティ・クラシコも、イタリアワインの格付けのピラミッドの頂点であるDOCG(統制保証原産地呼称)になっています。このDOCGには明確な規定があり、それに沿ったワインでなければDOCGを称することはできません。
それぞれのDOCGの規定は異なります。ブドウ品種はサンジョヴェーゼが主体となりますが、キャンティはサンジョヴェーゼを70%以上、キャンティ・クラシコは80%以上使用しなければなりません。残りの30%または20%は、他のブドウをブレンドすることができ、カナイオーロのようなトスカーナの土着品種も、カベルネ・ソーヴィニョンやメルローのような国際品種も使用することができます。
キャンティは白ブドウのブレンドも認められていますが、キャンティ・クラシコは白ブドウのブレンドは認められておらず、黒ブドウのみが使用されます。ただし、ブドウは必ず、キャンティならキャンティの地区、キャンティ・クラシコならキャンティ・クラシコの地区の畑で生産されたブドウでなくてはなりません。

また、熟成期間も異なり、キャンティは、収穫年の翌1月より3か月~9か月間の熟成、キャンティ・クラシコは、収穫年の翌1月より10か月間の熟成を経なくてはなりません。

キャンティもキャンティ・クラシコもまとめて「キャンティ」と呼ばれることがあるため、ややこしいのですが、キャンティ・クラシコのボトルには黒い鶏のマークがついているので区別をすることができます。「ガッロ・ネーロ」と呼ばれる黒い鶏は、中世フィレンツェの軍隊のシンボルでした。フィレンツェの市庁舎であるヴェッキオ宮殿にある「五百人広間」の天井に画家ジョルジョ・ヴァザーリが描いたガッロ・ネーロが残っています。この黒の鶏のマークが、キャンティ・クラシコ協会のロゴとなっており、すべてのキャンティ・クラシコのボトルの首の部分、または裏のエチケットに付いています。

キャンティの味わいと魅力

キャンティとキャンティ・クラシコの地域には、丘陵地が広がり、畑は日当たりのよい斜面にあります。自然が多く残っている地域でもあり、森が広がっています。トスカーナの景色といえば、糸杉が青空に向かって伸びているなだらか丘と緑と太陽。ワインはこの土地を映し出すような味わいがあります。

この土地で育つサンジョヴェーゼは、すみれのようなフローラルな香りと、ベリー系の果実のニュアンスがたっぷりとあり、きれいな酸が感じられます。

キャンティ地方のブドウ畑

キャンティは、熟成期間が短いため、サンジョヴェーゼの酸味がより感じられ、若々しい果実がチャーミングな味わいのワインです。

キャンティ・クラシコは、より熟した果実のニュアンスがあり、なめらかな味わいです。

また、キャンティとキャンティ・クラシコには、熟成期間がさらに長い「リゼルヴァ」の階級がそれぞれあります。熟成期間が1年長くなるため、ボディのよりしっかりとしたストラクチャーになり、樽熟成に由来するスパイス香も感じられるワインです。

さらに、キャンティ・クラシコには、「グラン・セレッツィオーネ」の階級があります。これは、30か月の熟成を経る最上級の階級です。味わいも、力強く、厳格で、エレガントになります。

キャンティ、キャンティ・クラシコは、地域が広いので、地区によっても味わいが異なります。キャンティは、7つのゾーンに分かれます。そのうちの代表的なゾーンは、北の「キャンティ・ルフィナ」、中部の「キャンティ・コッリ・フィオレンティーニ」、南の「キャンティ・コッリ・セネージ」です。涼しい気候のキャンティ・ルフィナは酸が特徴で、長熟できるワインです。フィレンツェを中心とするキャンティ・コッリ・フィオレンティーニは、果実味が親しみやすい味わいです。キャンティ・コッリ・セネージは、太陽を感じ、果実味はより熟したニュアンスがあります。

キャンティ・クラシコは、8つの市にまたがりますが、そのうちの4つの市「カステッリーナ・イン・キャンティ」「ガイオーレ・イン・キャンティ」「グレーヴェ・イン・キャンティ」「ラッダ・イン・キャンティ」は市全体がキャンティ・クラシコ地区になっています。これら4つの市で生産されるキャンティ・クラシコは、華やかな香りで、ミネラルを感じる優美なワインです。

味わいの幅はありますが、どれも「キャンティらしさ」、つまりキャンティの土地を感じるのがキャンティの魅力です。

キャンティワインに合う食事

キャンティ地方では、昔からワインと食事を一緒に楽しむ習慣がありました。食事のときに、ワインは常に食卓にありました。それは現在も変わっていません。果実味と酸味を感じる味わいは、食事をさらにおいしくしてくれます。食事を邪魔することなく、やさしく寄り添ってくれるフードフレンドリーなワインです。

地元では、ミートソースのパスタや、豚肉のロースト、牛肉のグリル、ジビエの煮込み、サラミやチーズが日常よく食される料理で、それらと合わせることが多いです。

しかし、キャンティ、キャンティ・クラシコともに、実は和食とも相性抜群です。出汁や醤油、たれや砂糖の味には、キャンティワインの果実味と酸味がぴったりです。焼肉や、マグロのカマは最高にマリアージュします。

また、デイリーの食事にはチャーミングなキャンティ、少し手の込んだ料理にはキャンティ・クラシコ、特別な料理にはリゼルヴァやグラン・セレッツィオーネといったシーンによる使い分けもできます。

あらゆる場面で活躍してくれるキャンティワイン。お好みによって選んでみてください。

おすすめのキャンティワイン

ここで、おすすめのキャンティとキャンティ・クラシコをご紹介します。

まずは、キャンティ。「アルパ」のキャンティは、イタリアの一流ファッションブランドのサルヴァトーレ・フェラガモ・ファミリーが手がけるワイン。

チャーミングながら、フェラガモ家のワインだけあって、エレガントさがあります。口当たりがやわらかく、ベリー系の果実味とタンニンのバランスがとれています。アルパとは、イタリア語でハープのことで、まさにハープが奏でる音色のように、心地よく飲むことができます。デイリーに上品な味わいを楽しむことができるワインです。

キャンティ・クラシコは、「マッツェイ フォンテルートリ」のキャンティ・クラシコがおすすめです。中世からワイン造りをしている貴族マッツェイ家のワインです。

ブラックベリーのような黒い果実のニュアンスとスパイス香があり、凝縮感があります。お肉料理とペアリングすることで、ワインもさらに堪能することができます。

リゼルヴァは、「マルケーゼ アンティノリ」のキャンティ・クラシコ・リゼルヴァ。名門のアンティノリ伯爵家の手掛けるリゼルヴァです。赤い果実のニュアンスは華やかで、バニラやタバコの香りがあります。タンニンはやわらかく、余韻も長く、濃厚で芳醇な味わいです。

多様性のあるキャンティ。いろいろ飲むほど魅了されるワインです。ぜひ日常に取り入れてみてください。

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